rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第30章 rain of fondnessⅩ-5
「はは・・!やっぱ分かってねえじゃねえか・・・。冗談だ・・・バカが」
「~・・・!!」
ナッシュは自らにしゃぶりつく名無しを黙って見下ろしていた。
健気に、そして律儀にいいわけをする彼女が愛しくて仕方なかったから。
それは正直満たされていた気持ちに、再び火を灯されていたようなものなのだろう。
壁にもたれ、濡れ髪を掃い、咥え顔にまじまじと視線を送る。
後処理に耽る仕草にも、臍の奥にじんじんと熱を齎される。
名無しの自分を見上げる表情ときたら・・・喩え難い想いがまた一瞬でナッシュに芽生えていたことも、どうしたってそれが現実だった。
「ハァ・・・ご期待通り汚れたな。上がれよほら・・・、掻き出して・・流してやる」
「っ・・・、ん・・」
たとえばナッシュにとっては、名無しを何度も抱くことなど簡単だ。
その理由など、ようやく夜が訪れて、どれだけ腰を振るってきたかが最早分からなくなろうとも、それだけ会えなかった二週間に対する反動が凄まじかったということのひとつに尽きる。
零した冗談に強がって反論する名無し。
その反論に、失くしていた余裕を徐々に取り戻しつつ言い返すナッシュ。
名無しが変わらず狼狽える素振りを見せたこともまた面白かった。
ナッシュは彼女を起き上がらせると、口含まれた直後ということにも構わず、躊躇なくキスをした。
愛しいからこそ、苛めたくなるのもまた男の性だ。