rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第30章 rain of fondnessⅩ-5
「、・・はぁ・・――ッ・・・私ばっかり。ここでまだナッシュにしてなかった、から・・」
「!・・・ハ――なんだ・・その遠回しに、もう一回挿れてくれっつってるような言い草は・・・」
「ッ・・・もう・・!・・・、もうナッシュの冗談は分かるも・・・ん!!・・・ッ」
「ん――、冗談だと思うか・・・?別にまた抱いたっていいんだぜ・・・此処で。今から」
「、・・ッ、な・・・」
名無しが数回に渡り頭を前後させ、口の中でナッシュを吸い上げると、舌の根や上顎には僅かに味覚が感じられた。
射精した名残が出た証拠だろう。
ただ、このとき名無しが顰めた表情を零さなかったのは、日中やベッドの上で咥えたときに比べ、その感触が薄らいでいたからだというのは言うまでもないこと。
散々、呆れるほど、馬鹿みたく何度も抱き合った。
それでいて今なお、飽きを知らずこの場でセックスに興じた。
改めて思えば幾分おかしくも感じられたし、色情魔の如く肌を摺り寄せ合っていたのだ・・・がっついたサルだと罵られようとも、きっといいわけの余地もあったものじゃない。
「・・うう・・・ッ・・」
けれど、それで良いと自然と思えた。
求め合うことがどれだけ尊いものか、強く感じることができたのだから・・・。
ため息が零れるほどまだ抱き合えるのなら――。
そうしたいと心の奥底でだけ、名無しは静かに思い耽った。