rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第29章 rain of fondnessⅩ-4
楽しくてたまらない・・・そんなナッシュが仕出かしたのは、悪戯心が芽生えたゆえの果てのもの。
彼は壁に宛がわれていた小さな手をふいに奪うと、名無しの両腋に自らの腕を伸ばし、前戯のときのように今度は上肢をホールドした。
がんがんと突かれ、犯される背後からの押し寄せる快感。
耐える為の構える手段を、名無しはそのとき一瞬にして失っていた。
それはおそらくはベッドの上、シーツの波間に両手を縫い付ける様に拘束されたときと、体勢は違えても、状況はまるで酷似していた。
追いつめられていたために倒しきれない、華奢な上半身は腰のくびれだけを利用して、ナッシュは立ったまま名無しの自由を掻き消した。
「や・・・こんな・・、ッ・・・」
女性らしい実りのある胸元は時々壁にあたり、ほんの少し形を崩している。
背を弓なりにされ、いやらしく背面立位を強制させられ、名無しは逃げ場もないまま耳元で響くナッシュの声に、ただただ鳥肌を立て悶絶した。
「ハ・・・、んん・・」
「ひ・・・!あ・・ッ・・ァ・・・」
この瞬間の律動を以って身に沁みるのは、湯船の中では、如何になまぬるい挿入しか出来なかったかということ。
ほんの数秒ではあったけれど、それでも、身体にも脳にも長いと思わせられるほどに、ナッシュは名無しへのピストンを繰り返した。
立っていなければならないゆえに足場は崩せない。
中心では彼の陽物が体内で動き、名無しの奥や、好いところを攻め抜いている。
上半身の自由を奪われて、自分の好きに出来ずに突かれ続けて浴びせられる、まるで狂喜に勝るとも劣らぬ媚と快楽。
全身に齎されるそれがどれほどのものかを、名無しは改めて体で感じていた。