rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第28章 rain of fondnessⅩ-3
「ん・・、あ・・・」
「・・・ッ・・」
もともと嵩の低かった湯船が、更にそれを減らしてゆく。
嫌でも水面が波立ったのは言うまでもない、ナッシュが名無しを抱いていた所為だ。
槽の外側、その側面を辿って、湯は従順に排水溝へと進んでいる。
傍にはいつのまにか、空にしたことで除けていたミネラルウォーターのボトルも滑り込んでおり、湯が流れる度、それはカラカラと音を立て倒れていた。
「ナッシュ・・・や・・、あぁ・・」
「っ・・・熱いな・・、フッ・・・焼けちまう・・、ん・・・」
「ッ・・・ばか・・そんなこと・・・!ひ・・」
「バカはおまえだ・・・冗談に決まってるだろう・・、ああ・・・おまえ・・本当に欲しかったんだな・・・」
「!・・・」
「・・・、んっ・・名無し・・・」
広げさせていた足、陰部に擦り寄り、そこからは容赦なく挿入して身体を突いた。
ナッシュは名無しを抱き留めると、そのまま湯船の中で座位を作り、当然の如く彼女をその体勢へと誘導させた。
このとき視線の位置は近くなったのだけれど、まだほんの少し、ナッシュの上に居た名無しはその状態のおかげで、繋がりが生じてもうまい具合に余裕を保っていた。
会話らしい会話を少し零せたのはこれが近因だ。
勿論、余裕なんてもう既にあったものではないのだが、きっと気持ちの問題なのだろう。
これが後背位にでもなれば、すぐにでも支配されているような気持ちや征服感に心の均衡は崩されて、行為が終わるまではろくに言葉も交わせなくなることが、
名無しの目にも脳裏にも見えていた。