rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第27章 rain of fondnessⅩ-2
十分な面積があるわけじゃなかったバスタブのふちは、そこに居る限り、今でも少し重心を違えれば、瞬く間にその身を湯船へと預けることになるだろう。
たとえセックスに昇華されようと、ただの入浴といえばそれまでのこと・・・別にそれでもいいと最初は感じていた。
が、名無しは頭の位置がナッシュより上にあった今の体勢から変化が起き、視線が同じ高さになることを何となく避けたいとも次第に思うようになっていた。
ただでさえ身体を翻弄されていたのに、見下ろされる状態になれば、更に分が悪くなることは恐らく必至だったのが大きな理由のまずひとつ。
ベッド同様、この湯船の中でも、どうせナッシュにはめちゃくちゃにされる・・・。
いい意味で、そういう未来しか描くことができなかったのだ。
「ッ・・・」
恥ずかしい格好は続けさせられている。
それは本当に、文字通り羞恥でしかなかった。
そして、ここへきて名無しが密かに必死になっていたことが、彼女がバスタブに座すことを結局選んでいた、もうひとつの理由としてあった。