rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第27章 rain of fondnessⅩ-2
「ん・・――」
「・・・ナッシュ・・!あ・・・」
下肢に下りる途中、そのなめらかな肌に見えるのは、日中より既に残されていた無数のしるし。
所有のそれであるナッシュから付けられた鬱血を、あろうことか、彼はまた新たに名無しの上半身に残そうと唇を宛がっていた。
名無しは何度も何度も、しつこいまでにその吸引行為をやめるようナッシュに訴えた。
他人に見られればはしたない、着る服や髪型を、数日のあいだは意識して選ばなければいけない。
何より、鏡に映った自分を見たその時、確実にナッシュのことを思い出してしまうから・・・。
辛かったのは、もしもそのとき傍に彼がいなければ、きっと身体が、ナッシュを欲しくてどうしようもなくなってしまうだろうということ。
我慢できる自信が、名無しにはもうなかった。
「あ・・ッ、ん・・・」
やがてナッシュは名無しの下半身に触れるだけのキスをすると、次第に舌を伸ばし、じっとりとそれを捏ね繰り回した。
骨ばった皮膚の薄い腰やくびれは勿論、鼠蹊部の窪みもしつこく舐る。
内腿に移った時には唇を啄ばみ、そこをまたきゅっと吸い上げていたゆえに、名無しはそれも必死でやめるよう懇願した。
首筋もそうだったけれど、足の付け根に残された赤ほどいやらしいものはない。
既に付けられていたもの、そしてこの一瞬に付けられたものが視界に入った途端、名無しは一気に全身の力が抜けゆくのを感じていた。