rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第25章 rain of fondnessⅨ-2
「・・・、ナッシュ・・苦し・・・」
「名無し」
「ッ・・・、ちょっと待・・っ、んん!」
「・・・ハァ・・、待つ?誰がだ・・・」
バスタブに掛けていた片足を下ろすと体勢を変え、ナッシュは名無しを更に強く抱き締めた。
あとは仕掛けた所作に対し、彼女がその意味に気付くのを少し待つだけだった。
が、当然、吐息を漏らし目の色も変えたナッシュの言動に対し、名無しはすぐに点と点を線で繋ぎ、すべてを理解していた。
あれだけ漂っていた静寂も、波立つことのなかった水面も・・・。
今となってはその空間に、微塵もおもかげは残っていなかった。
rain of fondnessⅨ