第25章 rain of fondnessⅨ-2

腰を捩った影響で、すっかり彼女だけはバスタブの中で身体を横に向けている。

再び膝を曲げ、小さくなってナッシュの顔を名無しは見つめていた。
何を言っても堂々としており、誰かに屈すことなども絶対にありえない。

見下ろされる視線が鋭くてもまだ目は逸らさず、名無しもまた無意識に、恥ずかしさより、今はちゃんとナッシュと話すことを選んでいた。

思い出さされる、どれがきっかけかだなんて聞かれればはっきりとは答えられない。
けれどナッシュが名無しの濡れた髪を掻き分け耳元で囁いた一言は、彼女に否定できるものではないこともまた確かだった。

「も、・・・いい・・言わないでよ・・それ以上・・・、――・・・ッ」

「、・・・？」

「――・・・ってる・・、・・・そんなの・・分か・・・ッ、もう・・――っ」

「！・・・・フッ」