第25章 rain of fondnessⅨ-2

「・・・ッ・・私は・・」


泊まりが多くなる中で、どこかでカウントしていた数が狂い、ストックがひとつ増えていたのだろう。

なんとも単純な推理だ。

もっともそう喩えるのもおかしなほど、ナッシュはその事実を淡々と説明し、それがまた名無しの頬を赤々と色付かせる遠因となっていた。


今まで教えてもらえなかったこともそうだし、彼がどんな気持ちで、名無しの下着を部屋で見つけ、それを見えない場所へしまっていたことか。

考えただけで頭がおかしくなりそうだった名無しは、沸騰しかけたその頭部を必死に冷ます為ナッシュをギッと睨み付け、珍しく挑発的に言い返した。


その瞬間、ナッシュはぱちりと目を開きながら驚きの表情を滲ませる。

それは目の前で、自分の胸中で淫らになる以外の、素直な感情を剥き出しにしている彼女を初めて見ていたからだった。


そしてその中身がどんな内容であれ、これが自然に、男と女が交わす会話なのだなとも俄かに実感していた。




「自覚しろ・・・早かったぜ？おまえがオレに落ちたのは」