rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第25章 rain of fondnessⅨ-2
身体を洗われて、シャワーを止めて、湯船に入って、続く無言に耐えかねくだらない会話を切り出して、最後には勝手に顔を赤らめる。
ここまでが数分間の出来事だったことと、想定外のナッシュからの言葉に、名無しは見事に踊らされていた。
それがまた、分かっていたからこそ恥ずかしくてならなかった。
ただ呼び出されるだけ、短い時間の逢瀬に加え、いつしか日付を跨ぐこともその後は増えた。
家に帰れないと分かっていた時は、自然と泊まり支度をするようにもなっていた。
「帰れねえことが分かってて来るヤツがいるかよ・・・そんなに嫌なら来ねえこともできただろうが」
「・・言・・・っ、」
「確かに呼び出し続けたのはオレだ。けどおまえ・・・一度でも電話に出なかったことがあったかよ・・フフ」
「・・っ・・・」
自分は旅行から戻り、そのままナッシュに会いに行った。
日程を終えたそのまま、いつもの少量の手荷物で家を飛び出し、彼の胸に飛び込んでその身を預ける。
クラブハウスの中で脱がされ、汚された下着は、彼の部屋に来てもう一度脱がされ、そして汚された。
それを再び着用することはもうないと思っていたのは、夜はどうせ裸か、ナッシュの部屋着を纏って眠るだろうとぼんやり考えていたゆえのこと。
現実的に、朝を迎えるまでにはどうにかしようと一考していたら、まさかナッシュの口から零れたそれが名無しを驚愕させる。
こんな展開、背筋をぴんとさせ振り返ってしまうのもまた、至極無理のないことだった。