rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第24章 rain of fondnessⅨ
―――。
――。
『んー・・・』
『~・・・適当に・・、さっさと好きなやつ選べ』
『・・・だって・・』
『どれも一緒だ・・・先に行・・』
『う・・・じゃあ、・・・』
『!・・・やっぱりな』
『え・・?』
『それにすると思ったぜ・・・おまえ、メシの時も頼んでたろ。好きなのか?』
ナッシュの部屋で殆ど使用されていない、生活感のまるで漂わないキッチン内において、唯一稼働していたものがあるとすればそれは冷蔵庫だった。
まあ、動いていて当然だ・・・流石にどこの家でも共通といえばそうだろう。
何度か自分で開閉したこともあったのだけれど、名無しはシャワーに向かう前、彼に喉の渇きを訴えると、冷えたボトルを好きに手に取るよう指示されていた。
相変わらず飲み物だけは充実している・・・とはいえその殆どがスポーツドリンクだったり、ミネラルウォーターだったり。
あとは数種の炭酸水が、その冷えた箱の中を占領していた。
名無しは一足先に浴室に入ろうとしたナッシュに、一瞬でも置いて行かれることについ女々しさを剥き出しにしてしまい、どの飲み物を持ち込むかも決めきれずに焦りをみせた。
咄嗟に選んだのは大きめの瓶ボトル。
既に洗面所に居たナッシュがそこから顔をひょこりと出すと、彼は名無しが手に取ったその飲み物を見て、フッと微笑した。