rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第23章 rain of fondnessⅧ-2
「・・・っ・・、う・・」
ぼうっと天井や壁に目を向けつつ、もう一度、つい先刻起きた出来事を脳裏に浮かべる。
見つめあって感じた視線に、ぎゅっと抱き締められた身体のまだ残る感触。
何より体の中に渦巻き交錯していたナッシュの熱が、ベッドの上で寝そべる名無しをなおもじんじんと火照らせる。
きっと思い切って、起きていたと堂々と言ってのけ浴室に行くことが出来れば、回想に耽ることもなかったし、何度も枕に頭を付けずに済んだのであろう。
端の布生地を指先で弄び、胸をどきどきとさせて思考を凝らす。
が、凝らしてみても、ナッシュの元へ向かう足取りは作れそうもなかった。
想い遂げても、寂寥感を抱いて傍に行きたいと感じても、最後にストッパーをかけるのは、彼の強かで真っ直ぐな瞳を見ることが怖かったから。
一方通行だった気持ちが今は折り重なるように向き合っていたことが、逆に名無しに緊張を齎していた。
「・・・・」
渇いた喉が、水分を欲す。
浴室がだめなら、せめてキッチンまで・・・ようやく初めて軽く案を考えることができた、その矢先だった。
「おい・・・」