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rain of fondness【黒バス/ナッシュ】

第4章 rain of fondness4



「っ・・・!ん・・・っ・・」

「ん・・――」


互いに掻き消えていた、互いを感じる為のたいせつなもの。

肌のぬくもりと、汗ばんだ匂い。
髪や服、耳元に潜らせた、ほのかなコロンの香り。


試合直後だったナッシュが、その姿のまま名無しと落ち合い、彼女のことを思いきり抱き締める様は、幸い誰の目にも触れることはなかった。


綺麗に結わえていた髪をも手中巻き込んで、有無を言わさず名無しにキスをするナッシュは、彼女をしばらくのあいだ我が胸の中に閉じ込めた。


そして、そんな状況でもナッシュに両手を回すのが怖かった名無しは、彼のユニホームをほんの少し、きゅっと掴むことで、せめて意思を示していた。


口吸われて宙に消えた、会いたかったというその想いを――。






rain of fondness
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