rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第22章 rain of fondnessⅧ
「・・・・・」
乱暴をし、その身を汚しても、彼女に自分をどうこうできる術がないことは組み伏せた時に分かっていた。
初めてを終わらせて、終わってみてこうして離れようとした際にひしひしと感じたのは、やはりどうにも捨て置けないという、己の独占欲が消えなかった驚きと、願望が増した事実だ。
絶対に一度だけで終わらせない。
好機を得て必ず二度目も・・・。
そのために携帯を奪い、自分のデータを名無しのそれに刻み込んだ。
「バカが・・・」
ナッシュがその後名無しに連絡をとったのは、自分たちが初めて出会ってから、十日ほどが過ぎた頃のことだった。
初めてコンタクトを取るのにわざわざ電話をかけたのは、単純に声が聞きたいと感じたから。
会いたいゆえの声の聞きたさとはまた違う、ただの一度だけでくみ取った彼女の本質と性格上、電話には必ず応じると思った。
番号もアドレスも、連絡ツールのIDも・・・何もかも変えることは出来たであろうに、名無しは絶対にそれらをしないという確信をナッシュは持っていた。
自分が与えた刺激と快感をどこかのタイミングで思い出し、求められれば心とは裏腹に、自分のように生唾を飲んで欲す筈だ・・・と。