rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第22章 rain of fondnessⅧ
ぎし、と音を上げるベッドの上で、再びぺたんと崩した正座を作る。
背筋を伸ばした時にまず感じたのは、自分はもう起き上がれるのだなという小さな驚きだ。
文字通り骨抜きにされても、いまだ痺れが身体に帯びていても、もう鞭を打つ必要はあまりなかった。
「・・・ん・・」
目尻に指を伸ばし、溢れた涙を静かに拭う。
名無しは一度深呼吸をすると、自らの赤らんだ頬に手のひらを宛がった。
そこにこもった熱が冷めゆくのを実感しながら視線を上げ、瞳はまっすぐ、そして気持ちも一点へと向ける。
「ナッシュ・・」
無論、心地好く耳に響くシャワーの音がする、今はナッシュが居た浴室へ――。
『・・・・・』
『・・・結局、オレよりイイ思いしてたな・・・気持ち好かったろう?』
『・・・ッ・・』
『――・・・、また遊ぼうぜ?・・名無し』