rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第21章 rain of fondnessⅦ-5
『――っ・・・ふ、・・・ッ・・』
躊躇い続けたのは、名を呼べば、それは彼の存在を認めてしまうことになるから。
名前を知っていても、ただの一人の男に凌辱されただけなら、汚された事実は残っても思い出さないように、いつしか忘れられるように、過去のこととして割り切る事も
できるかもしれない。
名無しが自尊心を奪われ、気持ちに押し負けてナッシュの名を呼んでしまったのは、そうすることでまた頭の中が真っ白になれると・・・無残にも甘い期待を少しでも持ってしまったことがすべてだった。
『名無し』
こんな享楽は、知らない方が幸せだった。
覚えてしまったから、嫌なのに求め、紡いで欲した。
『ん・・・っ・・―――』
彼女が初めてナッシュの名を口にしたとき、ナッシュは自身の絶頂の瞬間を、名無しの唇を口吸うことで迎えていた。
たとえ既に男を知っている身体でも、無垢に思えた名無しのその身を、どろどろとした自分の体液で好きに満たす・・・。
体内に注がれたナッシュの白濁は、その色を以ってして彼女を大いに、別の色に染め穢していた――。
rain of fondnessⅦ