rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第19章 rain of fondnessⅦ-3
『ん・・・、フッ・・・初対面の相手に押し倒される女が見せる面じゃねえよ・・・なんだ?その物欲しそうな顔・・』
『っ・・・そんな・・、ッん・・・』
『まあいいさ・・・身体に訊いてやる』
『!!・・・あ・・っ』
押し倒された時、その勢いゆえ、鞄は既に手の届かないところ・・・伸ばして携帯さえ取れれば、あるいは何か未来も変わったかもしれない。
できることは色々あった。
動転していても、助けを呼ぶという選択肢が無いわけじゃなかった。
けれど名無しが結局何もできなかったのは、誰かに救いを求めるまでの過程を、ナッシュが許すとは到底思えなかったからだ。
小さな自尊心の為に抗ってみせても、結局やってみなければわからないという言葉さえ踏み躙る程の圧を、今の彼は持っていた。