rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第19章 rain of fondnessⅦ-3
『ん・・・っ・・、ハ・・ぁ・・』
『・・・キスは久々か・・?』
『ッな・・っ・・、・・・!!ん・・んン・・・ッ』
『ん、・・・ちゅ・・ん――』
『ッふ・・・、はぁ・・、ッや・・・んん!』
片方の足が床に擦れ、踵のヒールがこつこつと音を上げる。
膝から下をばたつかせた抵抗だったけれど、靴を消耗するだけに過ぎない無駄な行為だということを、名無しは心の何処かで既に悟っていた。
意味がなくても抗わないわけにはいかなかったのは、自分自身持つ、せめてものプライドの為。
口吸われ、驚いて閉じた瞳。
ナッシュのあまりの積極性に身じろぎながら、名無しは咥内で蠢く彼の舌に翻弄されていた。
太ましい指で、耳朶を何度もすりすりとなぞられる。
手首に振っていたのだろう・・・ナッシュの付けていた香水の甘い香りが、名無しの身体と心を無情に擽った。