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rain of fondness【黒バス/ナッシュ】

第16章 rain of fondnessⅥ



「す・・・、ん・・」

「・・・ああ・・そうか・・・。遊び古した女は好きに捨ててきたな・・別にそのあと、あいつらに拾われようが輪姦されてようが・・オレの知ったことじゃなかった」

「――・・・すぅ・・」

「・・おまえを・・・あいつらの視界にさえ触れさせたくねえと思ったのは・・・そういうことなんだろうな」

「・・・・」


片肘をマットにつけ、頬杖を作りながら横になる体勢をとる。
ナッシュは頭の中で巡らせた、数日前の自分の気持ちと向き合い、その想いを整理しながら名無しを見つめていた。

寝落ちた時よりも彼女の寝息が少し深くなったように感じると、空いた片方の手の甲を名無しの頬に滑らせながら、それでも起きないかを敢えて試す。

指先にあたる息遣いさえ愛しい。
視線をずらせば、女性的な曲線を描く身体に散りばめられた、自身が残した無数の赤。
行為のあいだ足元に追いやられていたケットを掛けてやりながら、ただただ寝顔に眼差しを向ける。


「――・・・おまえにあれを言われて一番きちまったのは・・・オレ自身がおまえを離したくなかったからだ・・」


頬をなぞり、耳に触れ、少量の髪を束にして、毛先を自身の唇に触れ宛がう。
無造作に辿らせることで覚えたくすぐったさに表情が綻んだナッシュもまた、少しの眠気を感じ、珍しくうとうととしてみせた。
そうできるのも、名無しが眠っていたからこそだろう。

でなければ、加えて一度たりとも口にしないような言葉さえ、彼は咀嚼も吟味もせず、惜しげもなく紡いでいたのだから。


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