rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第16章 rain of fondnessⅥ
『ああ・・・久しぶりだな』
自分のライフスタイルの中に、当たり前のように居た存在と自覚するまで、時間がかかったかどうかは分からない。
分かっていてもなんとなく決めつけたくなかったのは、理由もない、本当にただなんとなくそう思ったからだ。
便利な処理道具を見つけたものだと最初は悦んだ。
棘もない、カドもない。
個性もあまり感じなかったし、それでいて抱いた時の拒絶だけは一丁前に主張してみせる。
けれど、それがナッシュを焚き付けた。
今まで寝た女とは確実に何かが違っていたから、一度きりにはしたくないと、彼に直感で思わせるほどに・・・。
白色ですらない無色透明だった名無しというキャンパスが、会うたびに、抱くたびに自分の色に染まっていくのが、ナッシュは楽しくて仕方なかった。