rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第16章 rain of fondnessⅥ
「・・・・」
組み敷いていた身を下ろして隣で寝そべり、汗にまみれてもなお、なめらかで艶のある肌に指を滑らせる。
気持ち程度ではあったけれど、ナッシュは名無しの下半身に腕を伸ばすと、陰部に纏わりついていた自分の熱を、そのとき出来る範囲でそっと掻き出した。
起きる気配を見せないのは、余程疲れていたということ。
そのときナッシュが再びフッと笑ったのは、この数時間で何度この曲線を抱いたものかと自問していた所為だった。
現状、本音を言えばまだまだ足りない・・・そう思っても今の彼には、眠る名無しを無理に起こして抱く気などまるでなかった。
無粋だろうし、今はただ名無しの寝顔をもう少し見ていたいのだと・・・そう自然にナッシュは感じていた。
「ん・・・」
「名無し・・」
乱れた髪を直してやる指先は、名無しを攻め抜いて、付着した彼女の体液の微かにいやらしい匂いがする。
寝息をたてる唇をその指でなぞると、ナッシュは手を自身の口元に運び、間接的にキスをした。
「・・・・――」
すやすやと目を閉じる、赤みがかった可憐な顔をまじまじと見つめる。
やがて彼もまた頭の片隅で、とある日のことを思い浮かべていた。
先刻思い出していた此処に来るまでの出来事よりも深く巡らせる、更に遡った日のことを――。