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rain of fondness【黒バス/ナッシュ】

第16章 rain of fondnessⅥ




「・・・・・」


旅行はしっかりと楽しんだらしかった。
月並みな思い出話を遠慮混じりに話す名無しを隣で見下ろしながら道を進み、そのとき知った旅先での出来事。
そして何より、聞き損じてばかりだった、初めて追求した行き先のこと。

帰国直後、大きな疲れが多大にあったであろう・・・よくよく考えれば、まだ身体も慣れていなかった筈なのだ。
それでも名無しは、たとえ時差に苦を感じていてもナッシュに会いたいという素直な想いを自ら貫き、それを行動に移していた。

自分のような非道でしかない人間に、全く健気なことをする・・・。
呆れてフッと笑うナッシュの瞳が穏やかだったのは、彼女に見られないという確証を持っていたからだろう。


「・・名無し・・・」


その身に抱かれ、優しさに満ちたような、愛情に溢れたキスを何度も交わした。
ナッシュの隣に居場所が出来たと確信できた瞬間、張り詰めていた糸が瞬く間にぷつりと切れ、彼女の意識が遠のいたのも十分に肯けた。


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