rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第16章 rain of fondnessⅥ
無理やり抱かれ、初めて出されたときは自分でも引くほど抗って、いつまでもその事実を受け入れられずに咽び泣いた。
何が起きたのか分からなかったし、分かっていても、冗談まじりにその体液が身体に齎すことを口にされただけで、抱いた嫌悪感は尋常じゃなかった。
脅されて、関係を継続するよう強要され、この男からは逃げられないと分かって解放されたあと、最初にしたのはすみやかに対処法を探ること。
気は動転していただろうに、冷静に身体のことを考えて行動出来たことは、今思い出してもなかなか不思議だった。
「は、あ・・・」
すぐに薬ひとつでどうにでもなることを知って、自分の身体が薬品に対し、拒否反応を示さなかったことは不幸中の幸いと呼ぶべきか、なんとなく有難いとは一応思えた。
けれど、中に出されることに段々と慣れてゆく自分も同時に居り、それが名無しは怖くて仕方なかった。
「・・・・・」
事務的に弄ばれるだけだった身体を、いつしか時間をかけて愛されるようになって、それが勘違いであって欲しいと最初に願ったのは当然だ。
こちらまで絆されるかもしれない・・・流されるかもしれない。
万が一好きになってしまえば、そのとき捨てられて平静で居られる自信が、名無しにはもうなかったから――。
「・・っ・・・ナッシュ・・」
「ん・・・?」
「・・―――・・・ん・・」
「?・・・おい・・」