第2章 初期刀 加州清光②※R18
ひゅうがは何も言えず、加州を見ていた。
彼女にとって加州は最初の刀剣男士だ。
彼を顕現した翌日、ひゅうがは疲労で身体を動かすことが出来なかった。
そんなひゅうがの世話を焼き、彼女が眠るまで側にいてくれた。
これまでずっと、この広い本丸に二人きりだった。
気付けば、ひゅうがは自室の窓から見える道場で、加州が鍛錬に励む姿を見るのが日課となっていた。
ずっとこのままニ人で居たい。
ひゅうがはそう思うことすらあった。
しかし、彼女は審神者として生きると決めた以上、このままではいられないという葛藤の中、次の顕現を先送りしていた。
「私は……っ」
加州と同じ気持ちだと言ってしまいたい。
だが、ひゅうがは言葉を飲み込んだ。
「……ごめん、困らせたくて聞いたんじゃないんだ」
加州はひゅうがの手を離すと、彼女を部屋に残し出て行ってしまった。
「加州……」
ひゅうがはひとり、部屋に立ちつくしていた。