第2章 初期刀 加州清光②※R18
ひゅうがは自室を後にすると、顕現の間に足を運んでいた。
部屋の中には、打刀が一振り飾られている。
二週間ほど前に鍛刀されたものだ。
明日、ひゅうがが顕現させれば、二振り目の刀剣男士となる。
ひゅうがは刀にそっと近寄った。
「……次はそいつを顕現させるの?」
「加州っ⁉︎」
ひゅうがが驚いて振り返ると、ひゅうがの後ろで加州が腕を組みながら立っていた。
その表情は冷たく、部屋の奥にある刀を睨みつけていた。
「邪魔するつもりはなかったんだけど、主がどこに行くのか気になって」
加州は刀から視線を外すと、部屋へと入る。
そしてひゅうがの目の前に立つと、彼女の手を取った。
「加州?」
加州はひゅうがを見つめ、微笑む。
こうして手を繋いでいると、加州を顕現させた時のようだとひゅうがは懐かしいような、切ないような気がした。
そして、何故加州がひゅうがの手を取ったのかわからず、小首を傾げる。
「もしさ、俺が二人だけでいたいって言ったらどうする?」
加州は冗談っぽく、明るい声で聞いた。
ひゅうがは突然の質問に戸惑う。
「……加州?」
加州はひゅうがから目をそらすと俯いた。
そして、真剣な表情でまた彼女を見つめ、ひゅうがと繋いだ手に、少し力が入る。
「俺……一人で戦えるからさ、そりゃ安定も顕現してもらいたいけど……」
冗談などではなく、加州は本気だ。
どう応えて良いかわからず、ひゅうがは困惑した顔で加州を見ていた。