第2章 初期刀 加州清光②※R18
その夜、加州は眠れずにいた。
昼間、ひゅうがに言ったことを後悔していたのだ。
ひゅうがに、ずっと二人でいようと。
自分以外の刀剣男士を顕現してほしくないと。
審神者であるひゅうががそんなこと出来るはずがないというのに。
「あーぁ、さらに扱いづらくなっちゃったな俺……」
加州は布団に横たわりながら、自分が顕現した翌日のことを思い返す。
あの日……
加州が顕現した翌日、ひゅうがは刀剣男士の顕現で力を使い過ぎてしまい、身体を満足に動かすことが出来なくなったのだ。
加州は、自室から出てこないどころか、ひゅうがの気が僅かにしか感じられないことに驚き、慌てて部屋に駆け込むと、彼女は乱れた寝間着姿で仰向けに倒れていた。
「主っ‼︎」
加州が駆け寄ると、ひゅうがは弱々しい声で大丈夫と呟いた。
起きたら全身に力が入らず、何とかして着替えようとしたが、途中で力尽きたと。
「呼ぼうと思ったんだけど、何も出来なくて……」
「主、今は喋らないで休んで。主の力、すごく弱まってる」
ひゅうがは顔色も悪く、呼吸も乱れていた。
加州はひゅうがの寝間着を整えると、彼女の身の回りの世話をした。
ひゅうがの力が弱まってるせいか、本丸の結界が脆く、時間遡行軍が直接襲ってくるのではないかと、加州は気が抜けなかった。