第2章 初期刀 加州清光②※R18
加州清光を顕現してから幾月後、ひゅうがはこんのすけにいつもと同じ話を延々とされていた
「ひゅうが様、明日は新月の日ですぞ」
本丸内のひゅうがの部屋で、こんのすけがひゅうがを諭していた。
「この本丸に来たばかりのひゅうが様は心身共に疲弊しておりました。その状態で初めての顕現は、力のお強いひゅうが様でも少なからず良くない影響があったと思われます」
「……そうだね」
ひゅうがは開け放した窓枠に頬杖をつき、やる気なしにこんのすけの話を聞いていた。
確かに、ひゅうがが初めて刀剣男士を顕現させた翌日、力を使うどころか、身体を動かすことも困難であった。
だが、もう身体も力も元に戻りつつある。
なのにひゅうがは二振り目の顕現をしようとしなかった。
「今のお力でも充分なはず。ましてや明日は新月。ひゅうが様の力が最も高まる日ですぞ……って聞いてますかひゅうが様っ⁇」
上の空がちに話を聞いているひゅうがに焦りを感じ、たまらずこんのすけは叫んだ。
すると、ひゅうがが立ち上がり、こんのすけの頭を撫でる。
「……聞いてるよ。明日、二振り目の顕現しなさいってことでしょう?」
「左様に御座います。ですから……」
更に話を続けようとするこんのすけに、ひゅうがは頰を引きつらせた。
「わかってるよ?わかってるからさ……ちょっと今考え事してるから後で‼︎」
こんのすけを半ば無理に部屋から追い出すと、再び窓枠に頬杖をついてため息を漏らした。
「わかってるんだけどね……」
ひゅうがの視線の先には、
稽古場で日々の鍛錬に励む清光の姿があった。