第9章 桜の樹の下で 加州清光②※R18
行為が終わってしばらく抱き合っていると、加州が顔を赤らめながら呟いた。
「今夜は俺の部屋で寝て欲しい」
ひゅうがはこれまで、加州の部屋で何度か身体を繋げることはあっても、そのまま眠りにつかず自室に戻っていた。
一人で眠るのが苦手なひゅうがだが、それ以上にひゅうがは、過去の嫌な夢を見るのが怖いのだ。
それ故にひゅうがは極力眠らないように遅くまで起き、朝は誰よりも早く起きる。
だが、ひゅうがは加州の誘いを断りはしなかった。
ひゅうがは本丸に戻ったあと、早々に夕食と入浴を済ませ、他の刀剣男士達に見つからないように加州の部屋を訪れた。
「ひゅうが、待ってたよ。ごめん、まだ布団とか用意してないんだ」
「……うん」
加州はひゅうがの手を引いて部屋の中に引き入れると、布団を敷き始めた。
ひゅうがは畳に座ると、布団を敷く加州の背中をじっと見つめる。
「…………」
彼の寝間着の下には細身ながらも鍛えた身体が隠れている。
その身体はとても魅力的で、ひゅうがは目にするたびにいつも恥ずかしくなってしまう。
「ぁ……っ」
加州の裸体どころか、先程外で抱き合っていたことを思い出し、ひゅうがは顔を赤く染める。
「ひゅうが?」
布団を敷き終わると、加州はひゅうがに振り返る。
ひゅうがは顔を見られたくなくて俯きながら、なんでもないと一言告げた。
「ひゅうが、おいで」
加州は布団に入り、手招きをしてひゅうがを隣へと誘う。
ひゅうがが加州の隣に座ると、彼はひゅうがの手を握った。
「さっきの話、ちゃんと聞くから……続きが聞きたい」
肝心なところで話が途切れていた、ひゅうがの力の話。
先程までは話すのに躊躇いがあったが、今はもう不安も恐れもない。
ひゅうがは力のことや、自分の身体のことを話し始めた。
「ひゅうが、話してくれてありがとう」
全てを話し終えると、加州はひゅうがの頭を撫でながら微笑んだ。
ひゅうがはその顔を見て、彼に打ち明けて良かったと心から安堵した。
だが同時に、不安もよぎる。