第9章 桜の樹の下で 加州清光②※R18
「けど、たまに力が変に溢れちゃう時があって……、驚いたり、嬉しいとか、気持ちが高ぶったときに……草とか花とかがパーって咲いたり……」
加州はひゅうがの話を黙って聞いていた。
だが、彼がどんな表情をしているのかは、俯くひゅうがにはわからない。
「それにっ‼︎」
逆に、奪うことも出来てしまう。
そう言おうと、拳を握りしめながら勢いよく顔を上げると、加州は話を遮るようにひゅうがの頰に手を触れる。
加州は優しく微笑み、ひゅうがの身体を引き寄せると、彼女に口付けた。
「……っ!」
軽く触れるだけの、一瞬だけの口付け。
ひゅうがはわけがわからず、加州の顔を見る。
「…………え?清光?」
間の抜けた声がひゅうがから漏れるが、加州の方は上を向き、何かを探してるかのような仕草をすると、再びひゅうがを見つめる。
そして、今度は噛み付くように口付けた。
「ん……っ、急になんで……今大事な話してるんだけどっ」
ひゅうがは加州の身体を押すが、加州はさらに強い力で彼女を引き寄せ、身体を木に寄りかからせるように押し付ける。
ひゅうがは加州から逃げられなくなり、彼にされるがまま、身を委ねた。