第7章 歩く姿は百合の花 へし切長谷部※R18
「側にいたいなら、そんな怖い顔しないで……」
ひゅうがは五虎退の頭を撫でると、絵本を五虎退に渡す。
「今日は、新しく完成した粟田口の刀を顕現するって、五虎退と約束したんだよね」
「は……はい、僕たちは兄弟が多いので、主様には御迷惑をお掛けしてしまいますが……」
今の時点で、粟田口は五虎退と乱藤四郎の二振のみ。
いくら他の刀剣男士達がいるからとて、やはり淋しいのだろう。
「やっぱり、兄弟がいないと淋しいし、会いたいよね」
ひゅうがも、妹に会いたい。
だからこそ、五虎退の気持ちがわかるのだ。
「それじゃあ五虎退、昼餉が終わったら、兄弟達のところに行こう。鍛刀場の正面の部屋の前で待ち合わせね」
「は……はい、すっごく楽しみです」
五虎退は目を輝かせながらひゅうがにお礼を言うと、部屋から出て行った。
「それでは、昼餉をお持ちしましょうか?それとも、食堂で召し上がりますか?」
「昼餉はいらない、着替えたら、少し部屋で休もうかと……」
「またですか?きちんと食事を摂らないと……歌仙に、軽く召し上がれるものを用意させます」
長谷部は一度部屋から退室しようとするが、ひゅうがが長谷部の服の袖を引っ張って引き留める。
「必要ないから、着替えを手伝って……主お世話係、なんでしょう?」
「……おおせのままに」