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神威の巫女【刀剣乱舞】R18

第7章 歩く姿は百合の花 へし切長谷部※R18




「君は主を抱きたいと思ったことがあるか?」

歌仙からそう問われて以降、長谷部はずっと危機感を抱いていた。

歌仙がそう思うのも無理はない。
事実、長谷部もそう思ったことがある。
何度も。

顕現し、ヒトの身に慣れるためにひゅうがと握り飯を作った日、長谷部はひゅうがに恋をした。
長谷部の手を包み込む、彼女の手の温もりや笑顔に心奪われ、身体が燃える程熱くなるのを覚えた。
そして、偶然風呂場でひゅうがと鉢合わせてしまった時には、彼女が放つ色香に惹かれ、情交してしまった。
それならば、長谷部以外にも同じことをする輩も出てくるだろう。

長谷部はひゅうがに不埒な考えをもつ者が現れないよう、極力ひゅうがの側に控えた。
だが、近侍である加州清光を差し置いて側に控えるのは、彼に失礼と思い、加州が遠征などで不在にしてる間だけひゅうがの側に控えていた。

「あいつの不在の間は、俺に何でも申し付け下さい」

そうして、長谷部によって主お世話係の当番が新設された。
ひゅうがは少し戸惑ってはいたが、加州の負担が減るのならと渋々承諾してくれた。
そして、今日も長谷部はひゅうがの側に控える。

「長谷部、そんな怖い顔しないで……、五虎退が怖がってるでしょ!」

ひゅうがは五虎退に絵本を読んでいたが、部屋の隅にいる長谷部の表情があまりにも怖いので、堪らず抗議した。
朝から晩まで、長谷部はひゅうがに付き従っており、まるで監視されているようだ。

「ぼ……僕は大丈夫です。長谷部さんも、主様のお側にいたいのだと思います」

「五虎退の言う通りです。俺は主のため、主お世話係としてお側にいたいのです」

側にいたいと言われては、ぞんざいに扱えない。
だが、長谷部のひゅうがを見つめる瞳に、ひゅうがは戸惑うことがある。

ひゅうがを切望してやまない長谷部の目や、ひゅうがを呼ぶ声、優しく触れる手が、ひゅうがの劣情を煽る。
少し前までは、男女の交わりについて無知であったというのに。
今では、長谷部の視線だけでも身体が疼く。
劣情に駆られないよう、ひゅうがは長谷部から目を逸らすのがやっとだ。

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