第1章 初期刀 加州清光①
こんのすけは戸惑うひゅうがに本丸のこと、刀剣男士や鍛刀について、ひゅうががそれまでいた世と本丸とでは時間の流れが違うことを丁寧に教えた。
「あの後、里はどうなったの?」
こんのすけがひと通り説明し終えた後、ひゅうがが里のことを尋ねると、こんのすけは黙り込む。
「……里はもうありませぬ」
ひゅうががいたとされる里へ政府の者が辿り着いた時、そこは辺り一面焼け果てていたという。
そして、その原因は時間遡行軍にあると。
「おそらく、生き残った者はおりません。唯一人を除いて……」
それを聞いたひゅうがは、自分が人柱として死なず、里の結界が戻らなかったからだと思い悩み、この十日間何も出来ずにいた。
「もう、誰もいない」
いつも他の巫女達と一緒だったひゅうがには、ひとりで過ごす夜が息苦しく感じた。
体を起こし、枕元に置いていた水で喉を潤すと、ひゅうがは膝を抱えた。
「ひとりになりたくない」
そう呟いてひゅうがは目を閉じた。