第15章 情欲と理性の間で 一期一振※執筆中
彼女の想定外な反応に、魔が刺してしまったかのようだ。
一期一振は己を心から恥じた。
そして、己の気持ちを悟られないように、思いつく限りの言い訳を並べる。
「え……冗談?」
「そうですよ。本気にしましたか?私にとって貴女は、護るべき主です。それに、貴女の見た目は弟たちとそう変わらないですし、この世に長く存在してきた私に比べれば……幼子のようなもの」
「お、幼子って……」
一期一振は声が震えていることを悟られないよう、早口でそう言った。
極力表情を変えないよう、淡々とした口調で。
「幼子でも、女人の貴女に劣情を抱くものもいるでしょう。今後はより一層、無防備に男の元に行かれませんように」
「…………」
言葉が過ぎたというのは、一期一振自身、充分自覚している。
ひゅうがは目を見張り、明らかに傷付いた表情をしていた。
「話はこれで終わりです。私は着替えますので、主はお部屋にお戻り下さい」
「…………わかりました」
ひゅうがの態度、口調が変わった。
きっと、一線をひかれたのだろう。
一期一振はひゅうがの手を引こうとするが、彼女は一期一振の手をとろうとはしなかった。
そして、ピシャリと障子を閉め、一期一振の部屋から出ていった。