第15章 情欲と理性の間で 一期一振※執筆中
ほんの少し、脅かすだけ。
彼女が少しでも抵抗すれば、そこでおしまい。
そのつもりだった。
けれど、彼女は恥ずかしそうな表情で一期一振の顔を見つめたまま、抵抗すらしない。
それどころかひゅうがは、やがて表情を緩めると、ゆっくりと目を閉じた。
「……っ!?」
この仕草に、一期一振の心臓がドクンと跳ねる。
ひゅうがは体を強張らせることもなく、目を閉じたままだ。
それは、つまり。
彼女はこの先のことを覚悟して受け入れた。
そういうことなのだろう。
それならばいっそ、このまま。
ひゅうがの体に触れ、着物を全て脱がしてしまいたい。
彼女の体を隅々まで優しく愛撫し、容赦無く快楽に落としてしまいたい。
そのような思いがよぎり、一期一振の鼓動は早鐘を打ち、体はだんだん熱を帯びていく。
けれど。
一期一振はひゅうがを、恋い慕っている。
彼女を護り、彼女のために戦う。
そしていつの日か、彼女に思いを打ち明け、ひゅうがに受け入れてもらえたのなら。
その時に、彼女と交わりたい。
だからこれは、違う。
一期一振が望んでいるものでは、ない。
一期一振は顔を歪ませると、彼女の体から手を離した。
「……冗談、です。そんな顔しないでください。無防備すぎる貴女に灸を添えるつもりでしたが……」
一期一振はひゅうがに手を差し出し、彼女の体を起こした。