第15章 情欲と理性の間で 一期一振※執筆中
一期一振はしばらく、目の前で気持ちよさそうに眠るひゅうがの寝顔をじっと見つめていた。
彼女の見た目は、弟の乱藤四郎と大して変わらず、幼い。
だが、幼く見える割にしっかりしているし、きちんと周りのことも観察している。
ひゅうがの力の影響で成長が止まったと聞いているから、実際の年齢はもっと上なのだろう。
だが見た目は幼い。そう、幼いのだ。
それなのに、時折彼女に抱く欲求に一期一振は戸惑っていた。
一度目は、真夜中に薄い夜着のひゅうがを見た時。
二度目は、彼女が鯰尾藤四郎に押し倒されている姿を見た時だ。
乱れた前の合わせから覗かせていた、彼女の胸元。
普段陽に当たることのないその部分は白く、柔らかそうな肌。
彼女の肌に触れ、その温もりを感じたい。
その感触を手で確かめながら唇を寄せ、彼女の肌を喰んでしまいたい。
ひゅうがの無防備な姿は、一期一振に淫らな欲求を起こさせる。
一度目はすぐに冷静になれたが、さっきはそうもいかなかった。
ひゅうがを乱した弟への嫉妬と、無防備すぎる彼女への怒り。
いくら見た目が幼くても、ひゅうがは自分が女人であることに無自覚すぎる。
せめてもう少し、少しでも男に警戒心を持ってくれれば。
今だって、男の部屋で無防備に眠っている。
そういうところを直してもらいたい。
そう思ったところで、一期一振はふと気付いた。
先程まで、気持ちよさそうに眠っていたひゅうがが今は苦痛に顔を歪ませているようにしていた。
「ん……っ」
「主……?」
心配になり、ひゅうがを起こそうと彼女の肩に手を掛けると、彼女の目の端から涙がすっと流れた。
「ごめんなさい……」
涙を流しながら、小さな声でそう言った。
何度も、許しを請うように。