第15章 情欲と理性の間で 一期一振※執筆中
ひゅうがが一期一振の部屋で眠りについてしばらく後。
遠征に出ていた一期一振が部屋へと戻ってきた。
湯浴みの前に着替えを取りに戻った一期一振は、障子を開けた瞬間、首を傾げた。
ひゅうがが卓に突っ伏して眠っている。
一期一振は部屋を間違えたのかと、障子を閉めた。
「…………」
否、間違えてはいない。
周囲に誰もいないか辺りを見回すと、物音を立てないように静かに部屋へと入った。
さて、何故ここにひゅうががいるのか。
遠征前、ひゅうがに話があると言うには言ったが、まさかひゅうがが自分から来るとは思わなかった。
それも、こうして部屋で待っていることも一期一振には想定外の出来事だった。
ひゅうがを起こすべきだろうか。
だが、静かに寝息を立てているひゅうがを見ると、起こす気になれなかった。
一期一振は彼女を起こさないよう、静かに刀を掛け、武具を解いていく。
上着を脱ぎ、ネクタイを緩めるが、寝ているとはいえ女人の目の前で着替えるわけにもいかない。
一期一振はひゅうがの横に座ると、彼女の顔を覗き込んだ。
「……っ!?」
最初は気付かなかったが、ひゅうがが枕にしているもの。
間違いない。一期一振の内番着である。
畳んで置いておいたものだが、遠征前にすでに一度着用していたものだ。
汗を書くような作業はしていなかったが、それでも気になる上に恥ずかしい。
一期一振は動揺し、なんとか引っ張り出せないかと服の端を引っ張ってみた。
「ん……」
やはり、無理だった。
ひゅうがは小さく身動ぐと、ひゅうがにとっての枕を取られないよう内番着を握りしめてしまった。
「……仕方ありませんな」
ひゅうがを起こすという選択肢もあったが、きっと疲れているのだろう。
彼女が起きるまで、このまま待つことにした。
何より、彼女の無防備な姿を間近で見ていたいという気持ちがあったのだ。
昼餉までまだ時間はある。
それまではひゅうがを探しに来るものもいないだろう。
一期一振は彼女が寒くないように、布を掛けてやった。