第2章 初期刀 加州清光②※R18
「……加州、起きてる?」
障子の向こうから、ひゅうがに躊躇いがちに声を掛けられる。
こんな遅くに何かが起こったのだろうかと、加州は急いで布団から出た。
「主?こんな時間になに?」
加州が慌てて障子を開けると、ひゅうがが上着も羽織らず、薄手の寝間着姿で立っていた。
「加州に話があって、今いいかな?」
話がある。
きっと昼間のことだろう。
加州はひゅうがが昼間のことで自分を気に掛けてくれたと嬉しい気持ちになった。
だが、同時に心がざわつく。
ひゅうがはわかっていない。
自分が何をしているのか。
加州は男性で、ひゅうがは女性だと意識してないのだろうか。
それに、寝間着だけでは、身体の線がよくわかってしまう。
ひゅうがの細い肩や、胸の膨らみ。
そして、前の合わせから見える白い肌。
そこに手を差し入れ、彼女の肌に触れたなら、ひゅうがはどんな顔をするだろう。
「……主、夜遅くに男の部屋に来ちゃダメだよ」
加州はそれらを視界に入れないよう、目を背けた。
だが、一度目にしてしまった以上、猛る気持ちが込み上げてしまう。
「ごめんなさい。なら話は明日にするよ……」
顔を背けた加州に、ひゅうがは気まずさを感じ、踵を返す。
「主っ」
だが、加州はひゅうがの腕を後ろから掴み、引き寄せる。
「………もう遅いよ」
ひゅうがかどこにもいかないよう、後ろから強く抱き、耳元で囁く。
そう、もう遅いのだ。
猛った心はもう抑えようがない。
そのままひゅうがを自室へと連れて行き、障子をぱたりと閉めた。