第13章 近侍であるために 加州清光
「ん……っ」
舌を絡める度に二人の間からくちゅくちゅと淫らな水音が聞こえ、ひゅうがの唇の端から唾液が伝い、加州はそれを指で優しく拭った。
「これ以上したら、止まらなくなるかも」
加州の手がひゅうがの頬を撫でる。
頬から唇へ、ゆっくりとなぞるように指先が肌を滑り落ちていく。
「……清光」
頬を染め、潤んだ瞳で加州を見つめるひゅうがに、加州は悪戯っぽく笑う。
「続きはまた今度……ね?」
ひゅうがの耳元でそう囁けば、彼女はびくりと体を震わせた。
「……うん」
「じゃ、いこっか」
悪戯っ子のような目つきで笑うと、加州はひゅうがに背を向けて歩き出す。
ひゅうがは火照った顔を冷ますように手で顔を扇ぐと、加州の後ろをついていった。
「それで、何振り顕現するの?」
「決めてない。今朝の時点で四振り鍛刀が終わって、今新たに鍛刀しているのが四振りいるけど……」
今日だけで八振り顕現させるつもりなのだろうか。
加州はひゅうがの体調を再度心配するが、彼女は考えを曲げないだろう。
「……少しでも体に異変を感じたら、そこでやめてほしい」
「………」
こう言っても、無駄だってわかってる。
それでも心配せずにはいられない。
ひゅうがは何も言わず、ただ黙って後ろについていた。