第13章 近侍であるために 加州清光
また、この本丸に新しい刀剣男士が来る。
手が足りない今、男士が増えるのはいいことだ。
だが、正直嬉しくはない。
「何振りかって、また同時に顕現するの?体は大丈夫なの?」
「次の作戦にどうしても必要なの。それに……」
加州は前を歩くひゅうがの背中を見ていると、ふと彼女は立ち止まる。
「加州、貴方に重要な任務を任せたいの。そのために今、何振りか顕現させる必要がある。私の体のことなら、大丈夫だから……たぶん」
ひゅうがは時々すごくずるい。
加州はひゅうがに頼りにされれば、意を唱えることなど出来ないこと、彼女は知っているのだ。
ひゅうがに困った顔で見つめられれば、加州は彼女のどんな願いでも聞き入れてしまいたくなる。
けれど、彼女に無理はして欲しくない。
「たぶんって……また倒れたらどうするの?」
加州はひゅうがの肩に手を置くと、彼女を壁に強く押し付けた。
誰かに見られる可能性があったが、加州はそんな事を気にすることもなく、ひゅうがの瞳をじっと見つめた。
「加州、私にはやらなくちゃいけないことがあるの。それに、今回の任務は本当に大切だから……多少の無理は許して?」
首を傾げて許しを乞うひゅうがに、加州は妖しく笑う。
「主、わかったよ。けどさ……」
加州はひゅうがの頬を優しく撫で、彼女の後頭部に手を当てた。
ひゅうがの顔と体を自分に引き寄せ、彼女を腕の中に閉じ込める。
「俺の我儘も聞いてくれる?」
ひゅうがの顔を上げると、彼女の唇を噛みつくように奪う。
加州はひゅうがが逃げないように彼女を抱いたまま、何度も唇を交わす。
「………っ」
彼女の唇をはみ、舌で舐めては吸い上げる。
ゆっくりと味わうように口付けられ、ひゅうがの背筋がびくりと震えた。
「ん……っ、んぅ……」
加州の舌がひゅうがの唇を割って差し入れられる。
熱い舌がぬるぬると口内を舐め上げ、ひゅうがの舌に絡めれば、彼女は加州に応えるように身を委ねた。