第12章 面影
「…………ひゅうが様」
桜の君の面影がある顔に触れ、頬をなぞる。
神威の御子、審神者となれば心強いだろう。
だが目が覚めた時、彼女は何を思うのか。
桜の君の御子達は、幼い頃に歴史修正主義者達によって攫われた。
そのことは政府も知っている。
彼女達は何を言われ、どう育てられたのか。
彼女は、どちら側なのか。
ひゅうがを見つけた時の有り様を見る限り、酷い扱いを受けていたのだろう。
きっと政府側につくはず。
だが、もしそうでないのなら。
政府に引き渡され幽閉されてしまうかもしれない。
「………っ」
それだけは避けねばならない。
きっと、こんのすけがひゅうがに会えたのは、天命だろう。
誤った道にいるのなら、導けばいい。
正しい道へ。
暗いとこから、暖かく優しいところへ。
「ひゅうが様、貴方様にはまだ……やるべきことが残っています」
どうか、幸せになってほしい。
ひゅうがとつばき、二人ともに。
幸せの道へと再び戻るために。
「ひゅうが様が目覚めるのを、こんのすけはここでお待ちしておりますぞ」
今度こそ、二度と主を失わないために。
こんのすけはひゅうがに忠義を尽くすことを決めた。