第12章 面影
「こんのすけ、今日の資料はこれで全部?」
「はい、先日ひゅうが様から頼まれた、各時代の天候も記載されたものはこちらです」
ひゅうがの執務室にこんのすけは次々と資料を運び入れた。
時間遡行軍による各歴史への些細な影響についての書類や、刀剣男士達からの戦闘、遠征の報告書。
その中でも、ひゅうがは天候の乱れに興味を抱いていた。
恐らく、ひゅうがの妹が関わっていると考えてのことだろう。
「最近、遠征先で史実とは違った天候だったって、何度か報告を受けているの」
「遠征先でですか?出陣先からはそのような報告は……」
「来てない。遠征の時だけ……なんでかな」
ひゅうがは遠征の報告書を真剣な表情で見つめる。
きっと、一つの可能性を考えているのだろう。
「ひゅうが様を、妹君が探しているのでは?」
「……それはないよ。重石つけて、湖に落とした。まさか生きてるとは誰も思わないでしょ?」
確かにそうだ。
だが、本当にそうだろうか。
こんのすけは、ひゅうががこの本丸に連れてこられた時のことを思い出した。