第2章 初期刀 加州清光②※R18
加州にとって不慣れな本丸で、食事の支度等、ひゅうがの世話をするのは多大な苦労があった。
しかし、加州は嫌な顔一つせずにひゅうがの回復の為に尽力した。
そうして日が沈む頃、ひゅうがの状態は落ち着き、月が出る頃には普通に会話が出来るようになっていた。
だが、彼女の力は弱々しいまま、まだ安心は出来ない。
そこで加州はひゅうがが眠るまで、側に控えていた。
その時だった、彼女が何故審神者になったのか聞いたのは。
「私ね、妹がいるの」
「そうなんだ、主に似てるの?」
最初、ひゅうがはこの本丸に来る前に暮らしていた里の話をしていた。
すると、彼女は妹のことを話しだしたのだ。
「双子だから、私にそっくりなんだけど、小さい時にちょっとあって……片目だけ、加州と同じ赤色の目なんだよ」
「そうなんだ。今はどうしてるの?」
「…………」
ひゅうがの沈黙に、加州はしまったと思った。
昨日、こんのすけにひゅうがのこと、彼女がいた里はもうないと聞いていたのだ。
妹のことまではきいていなかったが、きっと、ひゅうがの妹は亡くなった。
それを思い出させてしまったのではないかと、加州はバツが悪そうな顔でひゅうがを見る。
すると、彼女は目に涙を溜めていた。
「妹は……妹は生きてるよ」
「え……?」
加州はそこで、ひゅうがから彼女の妹が里で唯一生き残り、時間遡行軍に連れ去られたことを知る。
そして、時間遡行軍として過去に干渉していることも聞いた。
「……だから、私は審神者として生きるって決めたんだ」
ひゅうがの目から涙が頬を伝う。
その言葉を最後に、ひゅうがは目を閉じると、そのまま眠りについた。