第1章 ∞ black eight
え、ちょっとまって
「侯くん」
「なんや?」
「わたし今回運転する
って言ったよね?」
「せやな」
「なんで助手席に座ってるんでしょうか」
「俺が運転するからや」
「もーー… 私も運転したい」
「今回は俺が 運転する言うたやろ?」
嬉しいけど…
侯くんの運転してる姿
かっこいいから
嬉しいんだけど…
「侯くんお酒飲みたいでしょ?」
「おん」
「それなら、私が運転する」
「いやや 絶対譲らへん」
なんで、こんなに頑固なんでしょうか
わたしも侯くんのこと
癒してあげたいのに…
「俺は 春香に癒されてるで」
「え…」
「心の声漏れてた」
は、はずかしい
思ったよりも恥ずかしいんだね、これ
「そろそろ 発進するで」
「うん」
(ぎゅっ)
「なんや、
急にきたから びっくりしてもうた」
侯くんの手は安心するから
いつも触れてたい
「だめだった?」
「別にええで」
「よかった」
「でも、今日めっちゃ甘えん坊やな」
「うん」
自分でも思う
ここまで甘えん坊なのも
久しぶりな気がする。