第1章 雨の降る夜
「…………は? ぇ? はぁ?????」
一瞬何が起きたのか理解出来ず、パニックになる俺。
当の本人は呑気にチャーハン食ってるし……。
「おまっ、今、キス……俺、男……」
「前の飼い主は挨拶にキスをするって言ってたよ?」
「いやいやいや!! 俺、飼い主になるとは言ってねぇし、意味わかんねぇよ!」
「うーん……、じゃあ夏希は僕をなんで拾ったの?」
ハルは不思議そうな顔でこちらを見ている。
「いや、普通あんなずぶ濡れでいたら誰かしら声かけるだろ?」
「夏希しか声掛けてくれなかった……」
「それはたまたま……」
「夏希は……僕の事嫌い……?」
そう言ってハルは不安そうな目で俺を見つめる。
俺はなにも言えず、口を噤んだ。
「お前、免許とか……身分証持ってねぇの?」
「??? 何それ?」
「ハルは日本人じゃねぇの?」
「??? わかんない」
「………………」
ハルと言う名前しかわからないコイツを、どう扱えばいいのか……。