第3章 憂鬱な日常
「おはよ、夏希」
「………………」
ハルが手際よくテーブルに料理を運んでいる。
夢であって欲しかった。
昨日の、あんなこと────。
「夏希はお米派?パン派?」
「……米」
俺は諦めて用意された食卓に座る。
テーブルの上にはベーコンエッグにサラダ、白米と味のりが用意された。
「ごめんね? 勝手にキッチン使わせて貰って」
「別にいいよ」
あんなことがあったからこそ、俺はハルの顔が見れないと言うのに。
ハルは何事も無かったかのように、平然と過ごしている。
「「いただきます」」
いつもはコンビニでテキトーなものを買って朝飯にしていたが、こういうちゃんとした朝飯なんて久しぶりだ。
目の前に居るのが、ハルではなく可愛い彼女だったら完ぺきだったのに────。
「はぁ……」
「口にあわなかった……?」
「ぁ、いや……美味い……」
ため息が漏れたのを味のせいだと勘違いしたハルは不安そうな顔で訊ねてきたが、俺が美味いと返せば太陽のような笑顔で喜んでいる。