第1章 雨の降る夜
ハルはじっとチャーハンの乗った皿を見つめている。
俺は耳を疑った。
自分を拾ってくれる人を探してる?
意味がわかんねぇ……。
「お前……冗談だろ?」
「僕、捨てられたから……」
「は?」
「前の飼い主に、もういらないからって捨てられた……」
そう言って、ハルがこちらを向いた。
俺はハルの瞳に射抜かれ、そして、動けなかった。
「今日から、夏希が僕の新しい飼い主だよ……?」
段々と近付いてくるハルの顔。
俺は指1本動かす事が出来ず、ハルの柔らかい唇の感触を感じた。
「これから宜しくね……? 夏希……♪」
離れていくハルの口元は、怪しく弧をえがいていた。