第1章 雨の降る夜
「大丈夫……ですか……?」
街灯の下で小さく蹲り、小刻みに震えている。
「ちょっと……? おい、聞こえてる? わかる?」
身体を揺すって声を掛けると、ゆっくりとこちらを向いた。
「っ…………」
思わず見とれる程に整った顔。
俺が女だったら、一瞬で惚れてる……。
「どっか怪我してんのか?」
「…………」
声は出さないが首を振って応えてくれた。
「歩けるか?」
「…………」
「俺ん家すぐだから……そこまで頑張れ!」
首を縦に振ったのを確認し、肩を貸して歩き始める。
雨のせいか元々なのか、身体が冷えきって冷たい。
立ち上がると俺より少し小さいソイツを俺の家に招き入れた。
この選択が間違っていたと気付くまでに、それ程時間はいらなかった────。