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ある晴れた日に。

第1章 1







先代の将軍の愛人の子。


簡単に言ってしまえば、それがわたしだ。


綺麗な着物を着て、高価な櫛をさして
着飾っていても。

私は本当のお姫様ではない。



先代の時代には愛人は側室と呼ばれ、よくあったことらしい。

皆が、側室になることをのぞみ
父に媚を売り擦り寄った。

だけど父は動じなかった。

本妻だけを愛し、結果2人の子をもうけた。



表向きはそうなっている。


私は父の禁忌。
父が熱情に負けてしまった最初で最後の。

それを父が恥じたのか、時代が変わり側室が認められなくなり
そのせいなのかはわからないが

私は城に閉じ込められる一方で
私の存在を知るものもいない。

城内の者でさえ、ほとんど知らないのだから
一国の姫であってもこうやって城下町に抜け出すことが出来てしまう。

私が正門から出ていっても

誰も止めない。

だってみんな私をしらないから。



探しに来るのはじいやくらいで...


「かえで様ー!どこにいらっしゃるかー!」


そんな風に考え事にふけっていたら、どこからかじいやの声が聞こえてきた。

心配性のじいや。
私なんか探さなくてもいいのに。


「ん?なんだああれ」


「親父さんご馳走様。またくるね。」


親父さんは街のことについてなにかしら話していたけれど
じいやを見て、話がとまった。

私はその間にお金を払い、じいやから逃げるように団子屋を離れた。








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