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ある晴れた日に。

第1章 1








「親父さん。お団子1つくださいな」


きらきら輝く太陽が江戸の町を照らし

なびく風が木々を揺らす

光をうけた水面が今日も美しい


ここは江戸の城下町
天人のおかげさまで異常発展したのはいつの話だったか

前は自然が豊かな素敵な町だった。

今は異形の船が飛び交い、タコ頭やら狼男やらが大手を振って歩いている。

それを寂しく思っているのか、人々の顔はどことなく悲しくみえる。

店先に出されたベンチに座って待っていると
店の奥から店主の親父が団子を持ってやってきた。


「へい。たっぷりあんこのあん団子お待ち。」


「うわー! ここのお団子はいつもあんがいっぱいで嬉しいわ
親父さん、どうもありがとう。」


小さめのお皿から溢れんばかりにサービスされたあん団子をほほえみながらうけとる。

そっと串を手に取ると、はみ出していたあんが指先についてしまう。

いたずらっぽく笑った後それを口に含み、あんを堪能した。


甘くて美味しい。


ターミナルと江戸城が見えるここは歌舞伎町の小さな団子屋。
団子などの和菓子が食べられ、抹茶もサービスしてもらえる。

かえでお気に入りのお店だ。


一旦奥に引っ込んだ店主が遅れて抹茶を運んできた。
そして団子を頬張るかえでに不思議そうな顔で聞いた。


「お嬢ちゃんはいっつも綺麗なべべ着てんなあ。
なんだい、いいとこの娘さんかい?」

「ふふっ。きっと言っても信じてもらえないわ。
それより親父さん、なんだか今日は街が騒がしいわね。
お祭りでもあるのかしら?」

「なんだいお嬢ちゃんしらないのかい?最近ね...」



そう。私は何も知らない。

偽物のお姫様だ。







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