第3章 3
「着いたぞ!ここが俺達の屯所だ!!」
大きな門に瓦屋根。
右手には雄々しさを感じる字で"真選組屯所"と書かれていた。
門前に横付けしたパトカーは中から走ってきた黒服の男が回収していった。
土方達とはまた違ったタイプの制服を着ていて
なんだか地味そうな男だった。
しっかりとしたつくりの門は所々刀傷や染みのあとが見受けられる。
「さあ!応接間に案内しよう!」
ずんずん中に入っていく近藤に恐る恐るついていく。
遠くの縁側に見えるのは隊士達だろうか。
興味深そうにこちらを見ている。
土方はぷかぷかとタバコを吸いながらかえでの後を歩いていた。
「さあ、どうぞ」
「あ、ありがとうございます先生」
大きな両開きの襖を開けると簡素な応接間に通された。
とくに何があるわけでもないが、かえでとっては新鮮だった。
使い込まれた机、飾りもなにもない照明、床の間には唯一掛け軸が置いてある。
城やどこぞのお高い旅館とは違うそれがただ面白かった。
上座に促され座布団を頂き座る。
近藤はお茶菓子がーといいながらどこかへ行ってしまった。
土方はかえでの斜め右前に座ったままだんまりだ。
「…なに見てる。」
不機嫌そうな顔でそう言う土方。
明らかに"ああうちは貧乏です。お城のお姫様には不釣り合いでつまらないでしょうよ。やんのかコラ"と思っている顔だ。
それに気づいているのか気づいていないのか
かえではきらきらした顔で周りを見渡たしていた。
「不思議です。こんなにも広い応接間に掛け軸が1つだけ。
あ、その小窓から見えるものはなんでしょう?
わあこんなにも傍に木が植えてあるのですね!」
「一庶民の家なんて規模が違えどみんなこんなもんだ。
悪かったな掛け軸1つで。」
「素晴らしい!素敵です!自然の風を感じます…!」
何が面白いのか正直土方にはちっともわからなかった。
ただ目の前の少女はいたく感心した様子で外を眺めたり、掛け軸を眺めたりしている。